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浅草寺の魅力

東京の雑踏を抜け、浅草の駅を出て、雷門から一歩中に足を踏み入れた所でちょっと立ち止まって見ると、数分前にいた空間とは違った異空間に自分がいるような感覚に驚いたことがありました。

仲見世を歩くと、日本人形、刀、着物など日本文化を象徴するような商品が所狭しと並び、もしかして江戸時代、鎌倉時代も全く同じ風景だったのではという錯覚さえ引き起こす時があります。

一言で表すならば「明るさ」「楽しさ」「賑やかさ」などが相応しい言葉のような気がします。その表現は、ありきたりな表現とも言えますし、逆に現代の日本では聞き慣れなくなった、ノスタルジックな表現とも言えますが、そこは臆面無く、そのような空気につつまれており、そこに集まる現代人も違和感無くその雰囲気を受け入れているように思えます。

日本の観光地と言えば、各地の寺社を挙げる人が多いと思います。日本には世界遺産に指定された寺社も多く、幽玄で美しく、それらは日本文化の象徴と言えるでしょう。

浅草寺をそれらの一つとして紹介しても良いものでしょうか?単なるお寺として紹介するには余りにも雑多な物が入り込み過ぎています。建築物も再建したものが多く、世界遺産登録もされていません。

しかし参拝者は日本一と言われ、一年中活気に満ちて、外国人観光客のガイドブックには外すことが出来ない名所となって います。

しかし、ここは名所や観光地というよりも、リアルタイムで生き続けている数少ない日本文化の集積地です。浅草寺を他の寺社のように、一つの史跡と見ることは妥当ではありません。

浅草寺は周囲の寺社や商店街 、劇場、娯楽施設、数々の石碑や石像さらには数多くの参拝者、観光客をも含めた「浅草」という現存する文化の中心地であり、他に類を見ない魅力を古代から今に至るまで発信し続けています。

そして浅草寺を 「浅草」と切り離して考えることは困難です。そしてそのことが浅草寺を他の名所旧跡とはひと味違った、混沌とした雰囲気漂わしている要因なのかもしれません。

浅草寺の建築物の多くは、戦時中焼失し、戦後再建されたものです。それ以前にも地震や火災などで何度も焼失し、繰り返し再建されて来た、 建物ばかりです。

浅草寺は628年の建立以来、すくなくとも十数回 すなわち1世紀平均1回以上地震、火事、落雷、戦争などで焼失し、その都度再建されてきました。

しかし、その事によって何ら価値が下がることは無く、その後も変わらず人々は訪れ続けました。逆にその事は浅草寺が現代にも生き続けているという証明になるのかもしれません。

今後どのような災害に会おうとも、人々と「浅草」という地がある限り建物は何度でも再建され、途絶えることは無いでしょう。

「浅草」という文化の源は、個々の建築物等のハードにあるのでは無く、建立以来、参拝や観光に訪れた何億もの人々の意思の現れであるようです。

「雷門」から仲見世を抜け、境内へ参拝する人の波は、現代の東京のワンシーンであると同時に、十数世紀続いてきた、何億もの人々の往来の、最も新しい一コマとも捉えることができます。

開国以来、ものすごいスピードで近代化していった東京とは、全く違う時間の流れの中で、生き続け変化し続けている、もう一つの東京がそこには存在しています。

日本から日本文化が失われていくのと反比例して、「浅草」の文化の輝きは増していくようにも思えます。これからもゆっくりと変化していくであろう「浅草」を見続けていきたいと思います。



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